Nauticat 36(ナウティキャット36)

Nauticat 36(ナウティキャット36)

ナウティキャット36は現在のナウティキャット38のベースとなったモデルだ。
名称では2フィートの違いがあるが、インテリアやキャビン配置は大きな違いがないので中古艇で程度の良いものはお買い得である。

新旧二艇の違いはキール形状

ナウティキャット36と最新のナウティキャット38の長さ以外の違いは、ナウティキャット38がセミロングキールなのに対して、ナウティキャット36がロングキールであることだ。
漁港の隅に停泊させてもらう場合や、ヨットハーバーのポンツーンの周囲に余裕がない場合はバウスラスターの導入を考えてもいいだろう。
パイロットハウスという形状からも分かるように、エンジンルームは余裕があるのでジェネレーターやバッテリーを追加したり、エンジンを高性能なものへの換装や水冷エアコンの本体部分を設置することも容易だ。
中古艇を気兼ねなく改造してパワーアップするのも楽しみ方の1つだろう。

参考諸元(造船時期・施主要望等で差異有り)

型名Nauticat 36
販売Nauticat Yachts
設計者Gustafsson
造船所Nauticat Yachts
初艇進水1975 年
建造数NA
船殻形状ロングキール
重量10 トン
バラスト3.08 トン
バラスト比31 %
全長10.97 m
全幅3.3 m
喫水1.6 m
水面高14.5 m
水線長9.40 m
ハルスピード7.4 ノット
排水量/水線長比341
エンジン90馬力 FORD LEHMAN 2722E
重量/馬力比111 kg
機走速度NA
リグケッチ
参考セールエリア
燃料タンク600 ㍑
清水タンク400 ㍑
汚水タンク
ジェネレータNA
エアコンNA
備考
※ハルスピードについてはロングキール艇等の排水量型船型で用いられる、√水線長(ft)×1.34の概算値を記しています。実際の最高速は船型や排水量によっても異なり、機走時においては重量/馬力比が120kgを下回る場合はハルスピード以上(外国のサイトには15%増などのレポートもあるが詳細確認できず)の航行も可能となるようです。
※「排水量/水線長比」は「D/L比」とも記され、本参考例では排水量(トン)を水線長(ft)の三乗で割った値の百万倍(10の6乗)を記しています。また、350以上を重排水量、300前後をやや重排水量、250を中排水量(以下はクルージングヨットには少ないので略)と言われています。
※全長についてはメーカーサイト等に公表されているものを参考にしていますが、バウパルピットが含まれていない場合も多く、実測長とは異なるものとなります。

フライングアフトデッキ

ナウティキャットのトラディショナルシリーズが一般のクルージングヨットと異なるのはアフトデッキだろう。
一般のクルージングヨットが水面に座っているかのような目線になるのに対し、この艇では水面上4~5フィートの位置に立つてラットを握ることになる。
目の前にはミズンマストがあるがブームはかなり高い位置にあるので操船への支障は無い。
また、このブーム配置のためミズンマストにバックステイはなく、スタン側に振ったスプレダーを介して両舷のサイドステーでミズンマストとメインマストへのセールパワーを支えている。
このアイポイントの高いアフトデッキは、ゲストには見晴らしの良い快適なスペースとなるが、一般のヨット経験者には高すぎるいう感想を持つ人やブローチングを受けた時の心配をする人も多いようだ。
しかし、この艇は荒天向けではないので、雨が降ったらパイロットハウスで操船するなり、荒天になる前に機走全開で港に逃げる使い方ならデッキの高さもメリットだけが残るだろう。

ハンドレールを始め、チーク部分のニス仕上げが美しいナウティキャット36、パイロットハウス内はテーブルを撤去して動き回りやすくなっている。

トランサムにテンダーデビットを付けてインフレダブルを搭載したナウティキャット36、上架するとスタンドのボリュームとバウのフレア(ハルノの上部が広がって波飛沫を抑える)がよくわかる。

ミズンマストのスターン寄りに設定されたサイドステーとスプレッダーの様子が分かる。