家族や友人の人数が多くてナウティキャット33では手狭だがナウティキャット44では手に余るという人にうってつけのモデルだ。
旧モデルと異なるセミロングキール
ナウティキャット38はナウティキャットのトラディショナルスタイル3姉妹の中間に位置するクルーザーだが、ナウティキャット44がフルロングキールなのに対し、ナウティキャット331と同じセミロングキールとスケグ付きラダーの組み合わせとなっている点だ。これは、ロングキール艇はアスターン時の舵利きが鈍いため、狭い港内で回頭するとき、ナウティキャット33がようにボートフックや人力で対処したり、大きいナウティキャット44がバウスラスターを装備して対処するのに対して、ナウティキャット38は人力に頼るには重い艇体ながらバウスラスターを装備するのには費用の面で躊躇するサイズなので、フルキールを諦めることで対処したといえるだろう。
参考諸元(造船時期・施主要望等で差異有り)
型名 | Nauticat 38 (現行) |
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販売 | Nauticat Yachts |
設計者 | NA |
造船所 | Nauticat Yachts |
初艇進水 | NA |
建造数 | NA |
船殻形状 | セミロングキール+スケグ付ラダー |
重量 | 11 トン |
バラスト | 3.1 トン |
バラスト比 | 28 % |
全長 | 11.8 m(ハルのみ) |
全幅 | 3.4 m |
喫水 | 1.8 m |
水面高 | 15.3 m |
水線長 | 9.25 m |
ハルスピード | 7.4 ノット |
排水量/水線長比 | 394 |
エンジン | 110馬力(3200 rpm)Yanmar 4JH4-HTE |
重量/馬力比 | 110 kg |
機走速度 | 8 ノット |
リグ | ケッチ |
参考セールエリア | 64.2 ㎡(メイン・ミズン・ジェノア) |
燃料タンク | 600 ㍑ |
清水タンク | 400 ㍑ |
汚水タンク | 80 ㍑ |
ジェネレータ | OP |
エアコン | OP |
備考 |
※「排水量/水線長比」は「D/L比」とも記され、本参考例では排水量(トン)を水線長(ft)の三乗で割った値の百万倍(10の6乗)を記しています。また、350以上を重排水量、300前後をやや重排水量、250を中排水量(以下はクルージングヨットには少ないので略)と言われています。
※全長についてはメーカーサイト等に公表されているものを参考にしていますが、バウパルピットが含まれていない場合も多く、実測長とは異なるものとなます。
馬力アップで旧モデルより機走性能が向上
ナウティキャット33や44の現行モデルが331や441となっているのに対し、ナウティキャット38だけが381となっていないのは、ナウティキャット38がナウティキャット36をベースアップしたモデルのためだ。旧モデルのナウティキャット36に比べて全長で80センチ、重量で1トン増えているが、水線長は15センチ短く排水量/水線長比も大きく、バラスト比も下がっているが標準のエンジンは90馬力から110馬力へパワーアップしているので機走性能は上まわっているようだ。
ナウティキャットのトラディショナルは好き嫌いが分かれる
スタンダードなインテリア配置ではラットがパイロット達の中央部分にあり、ポートサイドからメインキャビンへ降りるようになる。パイロット初のスタボー側には大きなチャートスペースが用意されているので大判の海図を広げることができる。
パイロットハウスへの出入りはキャットウォーク(両舷通路)からとなり、ドアは引戸なので操船の邪魔にならず、両舷を開ければビミニトップ以上の視界と、一般的な窓の小さなモータセーラーとは比較にならない解放感を味わえる。
38フィートながら、独立したバウキャビンとアフトキャビンを備え、さらにはギャレー一体化したメインキャビンとパイロットハウスの4エリアを備えたこの艇は艇外はもとより艇内でのプライバシーも確保された、クルージングを楽しむための西欧的なプライベート空間を大事にした艇と言える。