Nordhavn 56 Motorsailer(ノードヘブン56モーターセーラー)

Nordhavn 56 Motorsailer(ノードヘブン56モーターセーラー)

Nordhavn 56 Motorsailerは56フィートの艇体ながら、ノーザン12kwジェネによる油圧機器の活用でシングルハンドでのセーリングも楽しめるモーターセーラーだ。

建造は台湾

モーターセーラーは大きめのエンジンを搭載した機帆走を主体にしたクルーザーだ。
帆走主体で機起は出入港だけという体育会系のヨットマンに云わせれば「ヨットじゃない!」ってことになるだろうけど、海は好きだが体力の衰退を感じはじめた中高年にモーターセーラーは最適だと思う。 ノードヘブンはカリフォルニア州にある「Pacific Asian Enterprises, Inc.」が販売しているが、建造は台湾の「Ta Shing Yachts(http://www.tashingyachts.com.tw/)」他が行っている。
なお、現在ノードヘブンのラインナップは40フィートのトローラータイプモータークルーザーから120フィートのメガヨットまでだが、純粋なセイリングクルーザーは一艇もなく、モーターセーラーもNordhavn 56のみである。

Nordhavn 56緒元

型名Nordhavn 56 Motorsailer
販売Pacific Asian Enterprises, Inc.
設計者
造船所Ta Shing Yachts
初艇進水2008 年
建造数NA
船殻形状セミロングキール
重量43.9 トン
バラスト7.95 トン
バラスト比18 %
全長17.5
全幅5.05
喫水2.13
水面高22.25 m
水線長 m16
ハルスピード9.7 ノット
排水量/水線長比303
エンジン165馬力(2400 rpm)Lugger L1066T
重量/馬力比266 kg
機走速度9 ノット
リグスループ
参考セールエリアNA
燃料タンク3028.3 ㍑
清水タンク946.4 ㍑
汚水タンク283.9 ㍑
ジェネレータ12 kW Northern Lights #M843NW3
エアコンCruisair -Three (3) self-contained units and one (1) remote compressor with two (2) air handlers for a total of 53,000 BTU
備考
※ハルスピードについてはロングキール艇等の排水量型船型で用いられる、√水線長(ft)×1.34の概算値を記しています。実際の最高速は船型や排水量によっても異なり、機走時においては重量/馬力が120kgを下回る場合はハルスピード以上(外国のサイトには15%増などのレポートもあるが詳細確認できず)の航行も可能となるようです。
※「排水量/水線長比」は「D/L比」とも記され、本参考例では排水量(トン)を水線長(ft)の三乗で割った値の百万倍(10の6乗)を記しています。また、350以上を重排水量、300前後をやや重排水量、250を中排水量(以下はクルージングヨットには少ないので略)と言われています。
※全長についてはメーカーサイト等に公表されているものを参考にしていますが、バウパルピットが含まれていない場合も多く、実測長とは異なるものとなります。

トローラー由来のモーターセーラー

今回紹介する「Nordhavn 56」は、以前あった「Nordhavn 46」というトローラータイプ(欧米の漁船型)ロングレンジクルーザーのケッチタイプを元に、アウトリガーやアフトマストを廃してシンプルなスループにし、8トンのバラストで帆走時の安定を図ると共に、独立したレーダーアーチや90cm径の可変ピッチスクリューと高出力のバウスラスターなど最新機器を備えて、油圧駆動ウインチと相まって一人でも操船できる船となっている。

パイロットハウス上にエンジン付きインフレータブルのテンダー(専用デビットは無いので、メインブームを使って上げ下ろしする)、その後ろにライフラフト、船尾まで伸びた屋根の上にレーダーアーチといった姿はモータークルーザーそのもので一般的なセイリングクルーザーとは一線を画す。 さらに、一般的なセイリングクルーザーのコックピットが船尾にあるのに対し、この船はパイロットハウスの前にコックピットが配置されている。 ただし、マストの直後であるため、シート類の扱い勝手は良さそうだ。

ショートハンドのための油圧システム

メンイセール、ジブセール共にファーリングシステムが用意され、ウインチは全てハイドロ(油圧)駆動なのでハンドリングは楽だ。シングルハンドで56フィートの帆船を操れる醍醐味は計り知れない魅力だ。
6ノットの風で4ノットのセイリングを楽しめる。
なお、パイロットハウスの横にキャットウォークが無いのでバウデッキとアフトデッキの行き来はパイロットハウス内を通ることになる。
また、パイロットハウスの左右と後方にある出入り口は水密ハッチとなっている。

クルージングヨットでは希少な可変ピッチペラ採用

エンジンは1400RPM位にトルクピークがあるタイプなので、船速のコントロールはエンジン回転よりも可変ピッチスクリューのピッチコントロールでおこなう。
(2分30秒と後半15分くらいから可変ピッチスクリューの説明)

Nordhavn 56 with Dan Streech.mov

バートラムやハトラスのようなアフトデッキだけを見れば、まさかマストと帆が有ってセイリングできる船だとは思わないだろう。
この艇は少人数は帆走による数日~長期クルージングを楽み、ゲストを大勢招いた時は機走で日帰りクルーズをするといった使い分けができる船だ。
ただし、上部構造が大きいので荒天時の操安性は良くないだろう。また、パーフェクトストーム程では無いにしても大波の出くわしたときにパワーで乗り越えることも難しいので、大洋横断や冒険航海には向いていない。
港伝いに行くロングレンジクルージングに最適の船といえるだろう。
パイロットハウスの操舵席は航海計器の無い状態だ。このクラスの船は内装や装備の殆どがカスタムオーダーになる。
新造艇の価格は装備によって変わるので表示されていないが、船中古艇の価格は4-5年落ちで100~150万ドル(US)位からとなっている。

ノードヘブンサイト

http://www.nordhavn.com/
ノードヘブン56モーターセーラー
https://nordhavn.com/models/n56ms/ 以前あった「Nordhavn 46」というモデルは、バリエーションに小型のマストを備えた幻のモーターセーラータイプも存在し、日本ではタモリ氏が所有していることで知られている。

Nordhavn 46 (http://www.nordhavn.com/46/overview.php4

Nordhavn 46 緒元
LOA(全長):13.94 M
LWL(水線長):11.68 M
Beam(全幅):4.70 M
Draft(喫水):1.65 M
エンジン:105 hp/2,200 rpm
清水容量(3タンク):1060 L
燃料容量(3タンク):3785 L

Walk-thru Tour of Nordhavn 56 Motorsailer “Kindred Spirits”

Nordhavn 56MSLog

Nordhavn 56 Sailing .mov

Nordhavn 56 Motorsailer